あたご工房
天文と電子工作とコンピュータなどについて日々の出来事を書いています。
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斜鏡オフセット量の算出
斜鏡オフセットについて色々と調べて、オフセットそのものの原理とオフセット量の計算式を見つけました。
でも「この式で求められます。」と言われても「なぜそういう式になったのか」をイメージできない式だったので色々と悩みつつ式の導出を行ってみました。
まず基本的なところから。
主鏡の口径をdとして焦点距離をfとしたとき、下図の水色の三角形におけるtanθは
tan θ = (d/2) / f
= d/2f
ここで口径比をFとするとF=f/dなので
tan θ = 1/2F
となります。
前回の斜鏡の状態をこの図に書き加えます。
ドローチューブから覗いた時に斜鏡の右端は主鏡イメージギリギリで、左側は開いていました。
斜鏡左端が主鏡の光よりもはみ出しているのが分かります。
さて、斜鏡の短径(D)は鏡筒の先から覗いた時の斜鏡セルの直径と同じです。
斜鏡は主鏡の光軸に対して45°傾いているので、ドローチューブ側から見た場合の見かけの斜鏡径も斜鏡短径と同じになります。
さて、いよいよオフセット量ですが、斜鏡はどのようにオフセットするのでしょう?
オフセットの目的は「光軸はそのままでドローチューブから見た見かけの斜鏡中心に主鏡中心を合わせる」事になります。
つまり斜鏡の長径方向に、斜鏡をずらしてあげれば良いことになります。
ではどの位オフセットさせればいいのでしょう?
オフセット量を式で表してみます。
まず補助線を引きます。
主鏡の光軸と平行に、かつ斜鏡左端の先端を通るように直線を引きます。
次に斜鏡左側の主鏡の光路との交点からこの補助線に垂線をおろします。
この補助線と光路で作られる三角形(上図の水色の部分)は、一番最初に出てきた三角形と相似です。
斜鏡の見かけのはみ出し量をSとすると、この三角形の高さは
(D - S)・tan θ
となります。斜鏡は45°なのでドローチューブ側から見たはみ出し量と筒先から見たはみ出し量は同じになります。
つまり水色の三角形の高さはSとなります。
このことから
(D - S)・tan θ = S
tan θは最初に1/2Fと求めましたので
(D - S) / 2F = S
ここからは式の変形です。
D - S = 2FS
D = 2FS + S
D = (2F + 1)・S
S = D / (2F + 1)
斜鏡のずらし量(オフセット量)は、はみ出している量の半分になります。
オフセット量をsとするとs = S / 2
よって
s = D / 2(2F + 1) = D / (4F + 2)
となりました。
って、あれ?
ネットで見つけたオフセット量の計算式はD / 4Fでした。
上記の式だと少々オフセット量が少なくなりますね。
どのくらい違うのでしょう。150SLはD=36mm、F=5なので
ネットで見つけた式のオフセット量:1.8mm
自分で導出した式でのオフセット量:約1.64mm
0.16mmの違いを大きいと見るか小さいと見るか...
ってかスパイダの調整による精度はどう頑張っても1mmが限界と思われるので誤差の範囲ですね。
久々に頭を使いました。でもそのぶんスッキリしました。
このオフセット量を使って光軸調整をやり直そうと思います。
↓押していただけると嬉しいです。
でも「この式で求められます。」と言われても「なぜそういう式になったのか」をイメージできない式だったので色々と悩みつつ式の導出を行ってみました。
まず基本的なところから。
主鏡の口径をdとして焦点距離をfとしたとき、下図の水色の三角形におけるtanθは

tan θ = (d/2) / f
= d/2f
ここで口径比をFとするとF=f/dなので
tan θ = 1/2F
となります。
前回の斜鏡の状態をこの図に書き加えます。

ドローチューブから覗いた時に斜鏡の右端は主鏡イメージギリギリで、左側は開いていました。
斜鏡左端が主鏡の光よりもはみ出しているのが分かります。
さて、斜鏡の短径(D)は鏡筒の先から覗いた時の斜鏡セルの直径と同じです。
斜鏡は主鏡の光軸に対して45°傾いているので、ドローチューブ側から見た場合の見かけの斜鏡径も斜鏡短径と同じになります。
さて、いよいよオフセット量ですが、斜鏡はどのようにオフセットするのでしょう?
オフセットの目的は「光軸はそのままでドローチューブから見た見かけの斜鏡中心に主鏡中心を合わせる」事になります。
つまり斜鏡の長径方向に、斜鏡をずらしてあげれば良いことになります。

ではどの位オフセットさせればいいのでしょう?
オフセット量を式で表してみます。
まず補助線を引きます。
主鏡の光軸と平行に、かつ斜鏡左端の先端を通るように直線を引きます。
次に斜鏡左側の主鏡の光路との交点からこの補助線に垂線をおろします。
この補助線と光路で作られる三角形(上図の水色の部分)は、一番最初に出てきた三角形と相似です。
斜鏡の見かけのはみ出し量をSとすると、この三角形の高さは
(D - S)・tan θ
となります。斜鏡は45°なのでドローチューブ側から見たはみ出し量と筒先から見たはみ出し量は同じになります。
つまり水色の三角形の高さはSとなります。
このことから
(D - S)・tan θ = S
tan θは最初に1/2Fと求めましたので
(D - S) / 2F = S
ここからは式の変形です。
D - S = 2FS
D = 2FS + S
D = (2F + 1)・S
S = D / (2F + 1)
斜鏡のずらし量(オフセット量)は、はみ出している量の半分になります。
オフセット量をsとするとs = S / 2
よって
s = D / 2(2F + 1) = D / (4F + 2)
となりました。
って、あれ?
ネットで見つけたオフセット量の計算式はD / 4Fでした。
上記の式だと少々オフセット量が少なくなりますね。
どのくらい違うのでしょう。150SLはD=36mm、F=5なので
ネットで見つけた式のオフセット量:1.8mm
自分で導出した式でのオフセット量:約1.64mm
0.16mmの違いを大きいと見るか小さいと見るか...
ってかスパイダの調整による精度はどう頑張っても1mmが限界と思われるので誤差の範囲ですね。
久々に頭を使いました。でもそのぶんスッキリしました。
このオフセット量を使って光軸調整をやり直そうと思います。
↓押していただけると嬉しいです。
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