あたご工房
天文と電子工作とコンピュータなどについて日々の出来事を書いています。
| ホーム |
新星景画像処理の手順
年賀状の季節です。今回も星座写真を使います。
以前もやりましたが新星景で今回も画像処理します。
今回はできるだけステップバイステップで説明しようと思います。
使うソフトウェアは先日セットアップしたステライメージと以前から使っているGIMPになります。
GIMPは2.10を使っていますのでメニューの一部が英語のままになってます。
と、その前に新星景とはどんな写真なのか説明しておきます。
星の光は弱いので高感度で(普通の写真に比べて)長時間の露出をかけます。
カメラの感度を上げると熱ノイズと呼ばれるランダムなノイズが発生します。
これも普通の写真であれば被写体の方が明るいので目立ちませんが、星空ですとモロに見えてしまいます。
ランダムなノイズなので同じシーンを複数枚撮影して重ね合わせることで均すことができます。
重ね合わせる処理のことをコンポジットといいます。
今回は前回セットアップしたステライメージでコンポジットします。
ステライメージは自動処理モードで起動して、設定はこんな感じにしました。
ポイントはコンポジットはしますが画像の調整処理は一切行わない事です。
新星景では後ほど説明しますが何枚かの画像を重ね合わせますので、この段階では極力画像の明るさなどが変化しないようにしておきます。
コンパクト赤道儀を使った30秒の露出画像7枚をコンポジットするとこんな写真ができあがります。
星野部分はコンポジットできれいになりますが地上風景部分がぶれてしまいます。
地上風景のブレを無くすために、撮影した画像の1枚を使って前景(地上)のみの画像を作ります。
画像処理ソフト(あたごはGIMPを使っています)に前景に使う画像を読み込みます。
ちなみに30秒の露出のため、1枚でも多少ですが地上風景がブレ(ボケ)ています。
この画像から地上部分を抜き出すために、マスク画像というものを作ります。
マスク画像というのは映像として使わないところを文字通りマスクする白黒画像です。
白画像部分が元画像の有効部分で黒だと透明になります。
一般的な画像から白黒画像を作り出す処理として二値化というものがあります。
これは一定の明るさ(しきい値)を超えたら白に、それ以下ならば黒にしてしまうものです。
先程の画像を二値化処理したものがこちらです。
GIMPの場合は一旦レイヤを複製しておいてから色→Thresholdを実行します。
うまいこと地上部分が分かれるようにしきい値を調整します。
二値化処理しただけでは地上風景でないところも黒くなっていますので範囲選択&削除や消しゴムツールで消して(白くして)いきます。
木の隙間などもできるだけ消すようにすると良いと思います。
前述の通り白部分が有効になりますので不要な黒い部分の削除を行ったら白黒反転してマスク画像とします。
メニューの色→Invertで白黒反転となります。
このマスク設定を元画像に適用するには元画像レイヤにレイヤマスクを追加します。
元画像レイヤを選択した状態でメニューバーのレイヤ→レイヤマスク→レイヤマスクの追加を実行します。
ダイアログが出ますので完全不透明または完全透明を選んでAddボタンを押下します。
先程のマスク画像レイヤを選択してコピー後、追加されたレイヤマスクをクリック選択してペーストします。
これで前景部分のみのレイヤができました。
これできれいな星野とぶれてない前景が用意できました。
この2つを組み合わせればOKっぽいですが、実は問題があります。
今回の画像では分かりにくいため、以前紹介した冬の大三角の画像で説明します。
まずはコンポジット画像です。
今回の画像同様に前景である地上部分がぶれています。
次に1コマ画像を使ってこれまでやってきたのと同じように前景だけの画像を作り、重ね合わせます。
実はコンポジットでぶれた地上部分は本来の地上部分よりも広がってしまっているためブレが残ってしまいます。
地上風景が重ねたい前景画像よりも小さくなるような星野画像が必要です。
このために今度は通常とは異なる「比較明」というモードでコンポジットします。
これは複数の画像データで最も明るいものを画素の値とするもので、日周運動の表現などで使います。
比較明コンポジットした画像がこちらです。
林の部分がかなり小さくなっています。
この比較明画像と前景を組み合わせたると↓こうなります。
ちょっと前景マスクを削りすぎたようでブレた木が残ってますがまぁこんな具合に星野と地上部分を繋ぐことができました。
ただ、比較明コンポジットでは星野部分の画質が荒れてしまいます。
星野部分は一番最初の通常コンポジット画像とするようにマスクをかけて重ね合わせます。
前景と同様にコンポジット画像のレイヤにマスク画像を設定します。
マスクはグラデーションをかけるようにすると自然に繋がります。
上記の通り一番下に比較明コンポジットのレイヤを置き、その上に星野部分と前景部分のレイヤを配置して重ね合わせます。
こうして新星景画像ができあがります。
ちなみに比較明コンポジットをステライメージで行う場合には、コンポジットウィンドウの設定は以下のようにしました。
処理は「比較明」を選択し加算枚数は+ボタンを連打してMaxにします。
こうして新星景画像ができあがりましたが、これでやっと星の画像処理のベースとなる画像ができました。
ここから「カブリ補正」と「強調処理」を行います。
日本は人口密度が高いため街明かりによって地上付近は天頂よりも空が明るくなっています。
これをカブリといいます。
何も処理してないとわかりにくいですが、強調処理をすると顕著になります。
そこで強調処理前にカブリ補正という処理を行います。
これはカブリの発生している部分と、暗い空の部分が同じ明るさになるようにする処理です。
これまでは手作業で苦労してやってましたが、ステライメージを使うと簡単に処理できます。
まずは処理対象の画像を開いてメニューからツール→周辺減光/カブリ補正を選びます。
設定ダイアログが開きますのでカブリのある部分と空の暗い部分を複数(3点以上)選んでOKで出来上がりです。
このとき等光度曲線にチェックを入れて段階をいじるとカブリの範囲がわかりやすくなります。
カブリ補正が終わったら最後に強調処理を行います。
ステライメージでも強調処理は可能なのですが、いまいちトーンカーブの挙動に慣れることができずGIMPのトーンカーブで処理を行いました。
強調することで明るい星が大きくなります。
これで最終版の出来上がりです。
以前も書きましたが年賀状に使う場合にはドギツ目の画像にした方がいいと思います。
年賀状用にするにはさらに星座線と星座絵の合成、あと全体の構成とかまだまだやることいっぱいです。
もう時間がありません。急がなくては...
↓押して頂けると嬉しいです。
以前もやりましたが新星景で今回も画像処理します。
今回はできるだけステップバイステップで説明しようと思います。
使うソフトウェアは先日セットアップしたステライメージと以前から使っているGIMPになります。
GIMPは2.10を使っていますのでメニューの一部が英語のままになってます。
と、その前に新星景とはどんな写真なのか説明しておきます。
星の光は弱いので高感度で(普通の写真に比べて)長時間の露出をかけます。
カメラの感度を上げると熱ノイズと呼ばれるランダムなノイズが発生します。
これも普通の写真であれば被写体の方が明るいので目立ちませんが、星空ですとモロに見えてしまいます。
ランダムなノイズなので同じシーンを複数枚撮影して重ね合わせることで均すことができます。
重ね合わせる処理のことをコンポジットといいます。
今回は前回セットアップしたステライメージでコンポジットします。
ステライメージは自動処理モードで起動して、設定はこんな感じにしました。
ポイントはコンポジットはしますが画像の調整処理は一切行わない事です。
新星景では後ほど説明しますが何枚かの画像を重ね合わせますので、この段階では極力画像の明るさなどが変化しないようにしておきます。

コンパクト赤道儀を使った30秒の露出画像7枚をコンポジットするとこんな写真ができあがります。
星野部分はコンポジットできれいになりますが地上風景部分がぶれてしまいます。

地上風景のブレを無くすために、撮影した画像の1枚を使って前景(地上)のみの画像を作ります。
画像処理ソフト(あたごはGIMPを使っています)に前景に使う画像を読み込みます。
ちなみに30秒の露出のため、1枚でも多少ですが地上風景がブレ(ボケ)ています。

この画像から地上部分を抜き出すために、マスク画像というものを作ります。
マスク画像というのは映像として使わないところを文字通りマスクする白黒画像です。
白画像部分が元画像の有効部分で黒だと透明になります。
一般的な画像から白黒画像を作り出す処理として二値化というものがあります。
これは一定の明るさ(しきい値)を超えたら白に、それ以下ならば黒にしてしまうものです。
先程の画像を二値化処理したものがこちらです。
GIMPの場合は一旦レイヤを複製しておいてから色→Thresholdを実行します。
うまいこと地上部分が分かれるようにしきい値を調整します。
二値化処理しただけでは地上風景でないところも黒くなっていますので範囲選択&削除や消しゴムツールで消して(白くして)いきます。

木の隙間などもできるだけ消すようにすると良いと思います。
前述の通り白部分が有効になりますので不要な黒い部分の削除を行ったら白黒反転してマスク画像とします。
メニューの色→Invertで白黒反転となります。

このマスク設定を元画像に適用するには元画像レイヤにレイヤマスクを追加します。
元画像レイヤを選択した状態でメニューバーのレイヤ→レイヤマスク→レイヤマスクの追加を実行します。
ダイアログが出ますので完全不透明または完全透明を選んでAddボタンを押下します。

先程のマスク画像レイヤを選択してコピー後、追加されたレイヤマスクをクリック選択してペーストします。

これで前景部分のみのレイヤができました。

これできれいな星野とぶれてない前景が用意できました。
この2つを組み合わせればOKっぽいですが、実は問題があります。
今回の画像では分かりにくいため、以前紹介した冬の大三角の画像で説明します。
まずはコンポジット画像です。
今回の画像同様に前景である地上部分がぶれています。

次に1コマ画像を使ってこれまでやってきたのと同じように前景だけの画像を作り、重ね合わせます。
実はコンポジットでぶれた地上部分は本来の地上部分よりも広がってしまっているためブレが残ってしまいます。

地上風景が重ねたい前景画像よりも小さくなるような星野画像が必要です。
このために今度は通常とは異なる「比較明」というモードでコンポジットします。
これは複数の画像データで最も明るいものを画素の値とするもので、日周運動の表現などで使います。
比較明コンポジットした画像がこちらです。
林の部分がかなり小さくなっています。

この比較明画像と前景を組み合わせたると↓こうなります。
ちょっと前景マスクを削りすぎたようでブレた木が残ってますがまぁこんな具合に星野と地上部分を繋ぐことができました。
ただ、比較明コンポジットでは星野部分の画質が荒れてしまいます。
星野部分は一番最初の通常コンポジット画像とするようにマスクをかけて重ね合わせます。

前景と同様にコンポジット画像のレイヤにマスク画像を設定します。
マスクはグラデーションをかけるようにすると自然に繋がります。

上記の通り一番下に比較明コンポジットのレイヤを置き、その上に星野部分と前景部分のレイヤを配置して重ね合わせます。
こうして新星景画像ができあがります。

ちなみに比較明コンポジットをステライメージで行う場合には、コンポジットウィンドウの設定は以下のようにしました。

処理は「比較明」を選択し加算枚数は+ボタンを連打してMaxにします。
こうして新星景画像ができあがりましたが、これでやっと星の画像処理のベースとなる画像ができました。
ここから「カブリ補正」と「強調処理」を行います。
日本は人口密度が高いため街明かりによって地上付近は天頂よりも空が明るくなっています。
これをカブリといいます。
何も処理してないとわかりにくいですが、強調処理をすると顕著になります。
そこで強調処理前にカブリ補正という処理を行います。
これはカブリの発生している部分と、暗い空の部分が同じ明るさになるようにする処理です。
これまでは手作業で苦労してやってましたが、ステライメージを使うと簡単に処理できます。
まずは処理対象の画像を開いてメニューからツール→周辺減光/カブリ補正を選びます。
設定ダイアログが開きますのでカブリのある部分と空の暗い部分を複数(3点以上)選んでOKで出来上がりです。
このとき等光度曲線にチェックを入れて段階をいじるとカブリの範囲がわかりやすくなります。

カブリ補正が終わったら最後に強調処理を行います。
ステライメージでも強調処理は可能なのですが、いまいちトーンカーブの挙動に慣れることができずGIMPのトーンカーブで処理を行いました。
強調することで明るい星が大きくなります。
これで最終版の出来上がりです。

以前も書きましたが年賀状に使う場合にはドギツ目の画像にした方がいいと思います。
年賀状用にするにはさらに星座線と星座絵の合成、あと全体の構成とかまだまだやることいっぱいです。
もう時間がありません。急がなくては...
↓押して頂けると嬉しいです。
- 関連記事
tag : 天体写真,
<<3Dプリンタタイムラプス強化 | ホーム | Macでステライメージ9>>
コメント
コメントの投稿
トラックバック
| ホーム |